被相続人が個人で事業を経営していた場合、その事業運営のために使用していた資産(一般動産)や、販売予定であった商品の在庫等(棚卸資産)も、相続税の課税対象となります。
このような事業関連の資産を事業用資産といい、その種類ごとに評価方法が定められています。相続財産として事業用資産を取得した場合は、既定の評価方法に従い評価を行いましょう。
一般動産について
形のある財産のうち、不動産(土地や家屋、その付属設備等)を除いた財産全般を一般動産といいます。
一般動産の一例
- 電化製品(パソコン、テレビ、冷蔵庫等)
- 乗り物(自動車、バイク等)
- 家具(棚、机、ベッド等)
- 骨董品、絵画等
- 事業用の機械装置、器具等
- コンサートチケット、乗車券
- ペット、家畜 など
一般動産には含まれないもの
- 家屋に付属する設備(冷暖房、浴槽、給排水設備等)
- 無体財産権(商標権、著作権等) など
一般動産の評価
一般動産は、財産評価基本通達129にて「売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する」と示されているように、いわゆる相場をもとに評価額するのが原則です。
評価対象となる一般動産の適正な市場価格があれば、その価格をもとに評価します。
市場価格が明らかになっていない場合は、同種同等の新品の小売価額から、以下の金額を控除した金額が評価額となります。
- 事業用一般動産の場合…その動産が製造されたときから課税時期までの償却費
- 非事業用一般動産の場合…減価の額
棚卸資産について
販売や加工、消費することを目的として仕入れ一時的に保管している、いわゆる在庫が棚卸資産です。
棚卸資産の一例
- 販売等の目的で仕入れた商品や、製造した完成品
- 製造工程の途中にある仕掛品や半製品
- 加工前の原材料 など
棚卸資産には含まれないもの
- 空閑地である土地、空き家である建物等
- “事業用資産の買換えの特例”を受けるためだけを目的として一時的に事業の用途に使用した資産 など
棚卸資産の評価
相続税法基本通達では、棚卸資産で下記に該当するものは、個別法を用いて評価するとされています。
(1)以下の場合に、個品管理を行うこと、または個別原価計算を実施することに合理性があると認められるときにおけるその商品・製品・半製品・仕掛品
- 商品の取得から販売までの過程を通じて具体的に個品管理が行われている場合
- 製品・半製品・仕掛品の取得から販売・消費までの過程を通じて具体的に個品管理が行われ、かつ、個別原価計算が実施されている場合
(2)その性質上、上記(1)の製品・半製品の製造等のために保有されている原材料
事業用資産の評価と減価償却
事業用資産のうち、確定申告時に減価償却の計算をしている資産については、残存価額で評価するのが一般的です。
- 商品の評価額=販売予定価格-適正利潤-経費-消費税
このように、事業用資産はその種類に応じて定められた評価方法に従い評価する必要がありますが、一口に事業用資産といっても、その種類はさまざまです。
複雑な評価を正しく行うためにも、個人事業主として事業を運営していた方がお亡くなりになった場合には、相続税申告に精通した専門家に相談されることをおすすめいたします。
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