相続において、遺言書の内容が最優先されますが、亡くなった方が遺言書を遺していなかった場合には、遺産を誰にどのように分割するかを相続人同士による話し合いで決めていきます。
この話し合いを遺産分割協議といい、遺産分割協議には相続人全員の参加が必要です。
しかしながら、中には話し合いに参加することが難しい相続人がいる場合もあります。
ここでは相続人の中に未成年者がいる場合、認知症等により判断能力が不十分な方がいる場合、行方の分からない人がいる場合についての対応方法をそれぞれご説明いたします。
1.未成年者がいる場合
相続においては未成年者と、未成年者の親がどちらも相続人にあたることが多く、未成年者の代理人を親が行うと利益相反になってしまう可能性があるため、親が未成年者の代理人になることができません。
そのため、家庭裁判所にて特別代理人選任の申立てを行い、特別代理人の選任をしてもらうことになります。
2.認知症等で判断能力が不十分な方がいる場合
相続人の中に認知症等により判断能力が不十分な方がいる場合、その方だけで遺産分割協議に参加することはできません。
これは遺産分割協議が法律行為にあたるためです。また、ご家族等が正当な代理権がないまま遺産分割協議に代わりに参加し、遺産分割協議書に署名や捺印することもできません。
このような場合には、成年後見制度を利用し、後見人等に代理参加してもらう方法があります。
成年後見制度を利用するためにはご本人の判断能力の程度により、後見、補佐、補助という3種類があります。
- 後見:判断能力を常に欠いている方向け。原則として、すべての法律行為を成年後見人が行う。
- 補佐:判断能力が著しく不十分な方向け。裁判所に申し立て、定められた行為を補佐人が行う。
- 補助:判断能力が不十分な方向け。裁判所に申し立て、定められた行為を補助人が行う。
成年後見制度を使用する際の相続手続き
- 判断能力が不十分な方本人の住所地の家庭裁判所へ、成年後見・補佐・補助の申立てを行う。
- 家庭裁判所にて後見人等の選任を行う。
- 後見人等と相続人全員による遺産分割協議を行い、誰がどのくらい遺産を受け取るか決める。
- 本人が取得した財産に不動産等があれば、名義変更などの手続きをする。
後見人等の選任については、1〜2ヶ月程度かかるのが一般的です。
また、認知症の程度を図るために病院を受診する必要となることもあり、選任にかかる期間はそれぞれ異なります。
成年後見制度を利用しなければならない相続人がいる場合には早めに手続きを行う必要が有ります。
3.行方不明者がいる場合
相続人の中に連絡が取れず、行方の分からない人がいる場合には以下の方法があります。
- 家庭裁判所にて不在者財産管理人選任の申し立てを行い、選任された不在者財産管理人が遺産分割等の手続きを行う。
- 家庭裁判所にて失踪宣言の申立てを行う。
いずれも家庭裁判所への申立てが必要であり、時間を要することがありますので、早めに相続の専門家へ相談することをおすすめします。
沖縄相続税申告センターでは司法書士や弁護士等、相続に詳しい専門家と連携し、沖縄・中部エリアの専門家が親身になってお伺いします。
初回の相談は無料で承っておりますので、どうぞお気軽に沖縄相続税申告センターまでお問い合わせ下さい。